私選!高橋大輔プログラム感想③
浅田真央さん、競技復帰ということで。
私選!高橋大輔プログラム感想②
前回に引き続き、好き勝手に語っていこうと思います。順番は適当。
私選!高橋大輔プログラム感想
高橋大輔「らしさ」についての考察その② の予定でしたが、
そこに進む前に、まず、私が高橋大輔にはまって動画を見まくったこの数ヵ月の結果、とくに印象に残ったプログラムについて好き勝手語ろうと思います。
まず、たぶん一番繰り返し見ているであろうNHK杯の『In the garden of souls』。
はじめて見たときには感激のあまり、あらゆる人に動画を見せて回りたくなった。
前々回の記事でもちらっと書いたけど、他の人の演技と同じように採点されるべきじゃないとまで思ったほど。人間ってここまで美しく動けるんだと。人の形をした黒いオーラの塊が縦横無尽にリンクを駆け巡ってる。
指先まで凝った振り付け、打楽器と弦それぞれの音ハメ、踊りの一部であるかのように自然なジャンプ、そして怒涛のステップ! ステップのカメラワークは世界選手権の方が迫力あるかな。
シャーマン、踊り子、て言葉が似合う。
神と対話することを生業とし、儀式を行うことで神と一体化し、大いなる力を行使する。
彼らは最も神聖な存在でありながら、最も卑しい存在でもある。
そんなイメージ。
次に『eye』。
怪我前のDOI2008ver. と復帰後のバンクーバー五輪ver.
どちらもそれぞれ好きな部分があって選べない! ただまあ、怪我前の方が尖ってる、というかいろいろ危険な感じ。
復帰後の演技を見ると、鮮やかな動き・視線に酔いしれ、音に気持ちよく振り回される。思わずフォー!って叫びたくなります。
一方、怪我前の演技はアルコール濃度が濃すぎて毒に近い。そのぶん強烈ですけどね。なぎ倒しってこういうことかと。
しかしこの曲を「人間の本性丸出し」と評した髙橋大輔の感性はすごいと思う。
お次は、最近なんだか自分の中で熱がきてる『 The crisis』。
これ、マーニーみたいにリンクに映像映して滑って欲しいなあ。
私はもともと、単調なリズムとメロディが徐々に盛り上がってやがてまた静かに終わる、って曲が大好きなのですが、この曲で魅せられるのはスケートならではだなあと思った。素直に美しいと思える。両手をゆっくり広げながら片足ですーっと滑っていくところが、なんともドラマチック。大好きです。
貝殻から聞こえる音に、そっと耳を寄せるような始まり。
懐かしい夢を見ているような。
朝、まだ誰も起きていない静かな時間。しっとりしてて、舌にひやっとくる、やわらかい霧。
靄の中を、船は新しい土地へと進んでいく。
…どこか、うっとりと悲しいですね。
喪失を知っているのに、どこまでも無垢で。傷さえもいとおしいような。そんな痛みの美しさ。
つま先で蹴ったり、遠慮がちに踊る部分が、泣けだしそうなくらい繊細でリリカル。男性なのにこんなに…いや、男性だからこそかな。
ちなみに、この曲をきっかけに映画を見たのですが、主人公に自分や彼の現状を重ねると、なかなかこうつらいものが…。でも、いい映画でした。サントラ欲しい!
次は『道』。
初めて見た大輔さんの演技ですが、日本人でここまでキャラクターを演じられる人が居たとは。しかもオリンピックなんて場所で! ふわっふわな腕の動きとリズミカルな足元、そして豊かな表情に、思わず引き込まれました。
こんなにも自由に動けるなんて、バランス感覚が人一倍優れてるんだろうな、ある意味最強だな、と面白く思ったし、一発でこの選手が好きになった。
プログラム全体としては、鮮やかなひとりの人生に盛大な拍手を! といった感じ。ずっと彼を追いかけてきて、この演技を見たんだったら、もっと違うことも思ったんだろう。
これも映画見てみたい。そしたら細かい振り付けの意味とかも分かるのに。
お次は『バチェラレット』。
この人ただ者じゃねえ…!と戦慄したプログラム。これを振り付けした宮本賢二先生もおかしい、普通じゃないw
もう何年も前の演技だけど、今テレビで流れても、お茶の間に結構な衝撃を与えると思う。
だって明らかにフィギュアスケートの範囲を逸脱してる。
これは許されないんじゃないの?
なにか間違えてるんじゃないの?
あなたは狂っているんじゃないの?
思わずそう言いたくなるような。
紫の蛸と聞いて、思わずクトゥルー神話を思い浮かべてしまう自分のオタク脳が残念ですが、でも本当に、異形って言葉が似合うと思う。生まれたての嬰児みたいに、ぬるっとしててあたたかい、生理的にイヤな質感。
そんなナニかが睨むようにこちらを見つめ、静かに低いところから這い寄ってきたと思ったら離れて行き、最初はぎこちない動きだったのが徐々に徐々に激しくなっていく。ああなんて気持ち悪い!かっこいい!最高!
はー、ドツボです。大好きですこういうの。 ありがとう高橋大輔!ありがとう宮本賢二!
最後のポーズで手に持ってるものは、「賢二先生曰く、『そんなに大切じゃないけど誰にもあげたくないもの』。自分は人間の頭か心臓をイメージしている」とのこと。
ほう……???
解釈がむつかしいなあー。私は自分の心臓(自分を動かしているものの正体)を見せつけている、てイメージだったんだけど。
いっぺんでいいから生で見たい。
と、長くなったのでここで一度切ります。
他のプログラムについては次の記事で!
高橋大輔らしさとは①
P・チャン復帰と表現すること
休養していた世界王者パトリック・チャンが競技に復帰するということで、電話記者会見の内容がネットにアップされていた。
これからは成績にこだわらず、表現でも記憶に残る選手を目指すということで。
へえー、いいじゃんいいじゃん素敵じゃん!新しいプログラムが楽しみです。チャンに表現力が備わればもう本当に無敵なんじゃないの?今もないわけではないし。
昔は手がヒトデだとか手旗信号だとか言われてたらしいけど、磨きたい・表現したいと思う限り、どんどん良くなっていくのが表現力。それで無くともチャンの滑りは見てて本当に気持ちいいので、TVでチャンが見られるのは素直に嬉しいです。
しかしこの人、ずいぶん率直に喋るなあと驚いた。
1位2位の選手を流し見って……二人ともつなぎの部分十分楽しいけどな……まあ私も羽生選手の動きで一番きれいだと思うのはジャンプだから、そこだけ見れたら後はいいって人も世の中には居るのかもしれないけど……髙橋大輔だってステップだけ集めた動画があるもんな……。
しかし会見の場でそれを言うか!?
まあ、一連の発言で、ジャンプ抜きでも楽しませてくれる髙橋大輔は、本当にチャンのお気に入りだったんだなーと再確認。
これだけいろんな選手が居るんだから、それぞれの得意分野を極めるのもかっこいいと思う。でも、まず得意分野を見つけるためにもいろんな曲にチャレンジしてほしい。表現の幅を広げようとショパンを選んだ羽生選手は、明らかに動きがやわらかくかつ自然になったと思う! 強弱の弱が備わって、他の力強い演技にも生きてくるんじゃなかろうか。
そしてどんなに表現を磨いても、個人には個人特有の「らしさ」があって、それはどんなジャンルを演じきっても、きっと勝手に出てきてしまうもの。そして、その「らしさ」こそがその人の真の魅力だと私は思う。
ステファンと髙橋っていうのはライターの人が挙げたものだけれど、二人とも好きだから嬉しかった。
次は髙橋「らしさ」についてもうちっと書く予定。
はじめに
どうも、ソチ以降の新参者です。語りたくて語りたくて辛抱たまらんくなってとうとうブログ作りました。
あくまで個人的な感想をまとめるためのブログなので、特定の誰かに向けて書くつもりは今のところないですが、髙橋大輔氏のファンの方や、別にファンじゃないけど他人がどう思ってるのか気になるって方が、なにかの偶然で読んでくださったら嬉しいです。
まず出会いから。
もともとフィギュアスケートにそれほど興味はありませんでした。
ただ、仲のいい友人がスケートファンだったこともあり、シーズンになると思い出したように、ニコニコで『神演技』タグがついた動画を検索してマイリスが多い順に見ていました。さすがに厳選されているだけあって、にわかでも安心して楽しめるものばかりです。
リアルタイムでは、テレビでやってたら流し見する程度の興味。密かに応援していたのは鈴木明子さんでした。理由は、私の大好きなファイアーダンスをプログラムに使っていたから。
そう、私はあくまで、素敵な音楽やストーリーを氷の上でどのように表現してくれるのかが見たかったのです。
そういう意味でジャンプは邪魔だなあと思ってた。だって失敗したらどうしようってドキドキするし、そうしたら演技への意識もが途切れてしまうし、予備動作も流れが途切れるようで嫌。ステップが見てて一番楽しかった。
…ここまでハマりそうな要素が揃っといて、なぜ髙橋大輔の演技を見なかったのか謎です。まあ本当にタイミングが合わなかったんだろう。
(じゃあなんでアイスダンスは見なかったの? と聞かれると、テレビでの放映が少なく見る機会が無かったのと、男女ペアにあまり惹かれなかったので…)
そんなこんなで、ソチが終わり、羽生選手が金メダル。リアルタイムではなかったのですが演技を見て、素人目に見てもすごいな、と。自信に満ち溢れた表情、光り輝くようなオーラ、そしてあんな綺麗なジャンプ見たことなかった! これはプルシェンコの後継者ってのも頷ける、よしこれからは応援しよう、そんなことを偉そうに思いました。
しかし時間がたてばスケートへの興味はまたも薄れ、私は高橋大輔が引退したのも知りませんでした。
迎えた翌シーズン。羽生選手の影響か自分の中でスケート熱が以前より高まり、去年までは見なかった動画まで見ました。それがバンクーバーの『道』でした。
最初の感想は「おおっ、踊りも演技もうまい!」。もともと男子はほとんど見ることがなかったのですが、それはやはり、女子と比べて技術(とくにジャンプ)をより重視しているような感じがあったから。これだけ情感豊かに踊る人を見たのは初めてのことでした。
続けて見た『eye』。「やっぱり踊るのうまい!こんな人居たんだ!」嬉しくなりました。これこれーこういうの見たかったんだよ!という感じ。ここまで音を使ってくれると、音楽好きとしては問答無用で好きになっちゃうぜ!衣装も素敵!表情もいい!ていうかかっこいいなこの人(私は濃ゆい顔の人が好きである)!
新しく見つけた素敵なモノにわくわくし、私は検索ワードを「フィギュアスケート」全体から「高橋大輔」に変えて動画を探しました。期待に胸を高鳴らせて再生した、NHK杯の『 In the garden of souls』。
やられました。完璧に落ちました。なんだこれは。これが他の人と同じ競技として、同じシステムで採点されるの?これが? と思った。まさしく舞踊だった。それこそ、ヒトが原始時代の太鼓から続けてきた、そんな音楽を思い起こさせるような。
…それからいろいろと衝撃的なプロを見て、坂を転がり落ちるかのようにハマってゆくのですが、とりあえず今日はここまで。