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髙橋大輔にある日突然はまってしまった日記

私選!高橋大輔プログラム感想

高橋大輔「らしさ」についての考察その② の予定でしたが、

そこに進む前に、まず、私が高橋大輔にはまって動画を見まくったこの数ヵ月の結果、とくに印象に残ったプログラムについて好き勝手語ろうと思います。

 

まず、たぶん一番繰り返し見ているであろうNHK杯の『In the garden of souls』。

はじめて見たときには感激のあまり、あらゆる人に動画を見せて回りたくなった。

前々回の記事でもちらっと書いたけど、他の人の演技と同じように採点されるべきじゃないとまで思ったほど。人間ってここまで美しく動けるんだと。人の形をした黒いオーラの塊が縦横無尽にリンクを駆け巡ってる。

指先まで凝った振り付け、打楽器と弦それぞれの音ハメ、踊りの一部であるかのように自然なジャンプ、そして怒涛のステップ! ステップのカメラワークは世界選手権の方が迫力あるかな。

シャーマン、踊り子、て言葉が似合う。

神と対話することを生業とし、儀式を行うことで神と一体化し、大いなる力を行使する。

彼らは最も神聖な存在でありながら、最も卑しい存在でもある。

そんなイメージ。

 

 

次に『eye』。

怪我前のDOI2008ver. と復帰後のバンクーバー五輪ver.

どちらもそれぞれ好きな部分があって選べない! ただまあ、怪我前の方が尖ってる、というかいろいろ危険な感じ。

復帰後の演技を見ると、鮮やかな動き・視線に酔いしれ、音に気持ちよく振り回される。思わずフォー!って叫びたくなります。

一方、怪我前の演技はアルコール濃度が濃すぎて毒に近い。そのぶん強烈ですけどね。なぎ倒しってこういうことかと。

しかしこの曲を「人間の本性丸出し」と評した髙橋大輔の感性はすごいと思う。

 

 

お次は、最近なんだか自分の中で熱がきてる『 The crisis』。

これ、マーニーみたいにリンクに映像映して滑って欲しいなあ。

私はもともと、単調なリズムとメロディが徐々に盛り上がってやがてまた静かに終わる、って曲が大好きなのですが、この曲で魅せられるのはスケートならではだなあと思った。素直に美しいと思える。両手をゆっくり広げながら片足ですーっと滑っていくところが、なんともドラマチック。大好きです。

貝殻から聞こえる音に、そっと耳を寄せるような始まり。

懐かしい夢を見ているような。

朝、まだ誰も起きていない静かな時間。しっとりしてて、舌にひやっとくる、やわらかい霧。

靄の中を、船は新しい土地へと進んでいく。

…どこか、うっとりと悲しいですね。

喪失を知っているのに、どこまでも無垢で。傷さえもいとおしいような。そんな痛みの美しさ。

つま先で蹴ったり、遠慮がちに踊る部分が、泣けだしそうなくらい繊細でリリカル。男性なのにこんなに…いや、男性だからこそかな。


ちなみに、この曲をきっかけに映画を見たのですが、主人公に自分や彼の現状を重ねると、なかなかこうつらいものが…。でも、いい映画でした。サントラ欲しい!

 

 

次は『道』。

初めて見た大輔さんの演技ですが、日本人でここまでキャラクターを演じられる人が居たとは。しかもオリンピックなんて場所で! ふわっふわな腕の動きとリズミカルな足元、そして豊かな表情に、思わず引き込まれました。

こんなにも自由に動けるなんて、バランス感覚が人一倍優れてるんだろうな、ある意味最強だな、と面白く思ったし、一発でこの選手が好きになった。

プログラム全体としては、鮮やかなひとりの人生に盛大な拍手を! といった感じ。ずっと彼を追いかけてきて、この演技を見たんだったら、もっと違うことも思ったんだろう。

これも映画見てみたい。そしたら細かい振り付けの意味とかも分かるのに。

 

 

お次は『バチェラレット』。

この人ただ者じゃねえ…!と戦慄したプログラム。これを振り付けした宮本賢二先生もおかしい、普通じゃないw

もう何年も前の演技だけど、今テレビで流れても、お茶の間に結構な衝撃を与えると思う。

だって明らかにフィギュアスケートの範囲を逸脱してる。

これは許されないんじゃないの?

なにか間違えてるんじゃないの?

あなたは狂っているんじゃないの?

思わずそう言いたくなるような。

紫の蛸と聞いて、思わずクトゥルー神話を思い浮かべてしまう自分のオタク脳が残念ですが、でも本当に、異形って言葉が似合うと思う。生まれたての嬰児みたいに、ぬるっとしててあたたかい、生理的にイヤな質感。

そんなナニかが睨むようにこちらを見つめ、静かに低いところから這い寄ってきたと思ったら離れて行き、最初はぎこちない動きだったのが徐々に徐々に激しくなっていく。ああなんて気持ち悪い!かっこいい!最高!

はー、ドツボです。大好きですこういうの。 ありがとう高橋大輔!ありがとう宮本賢二

最後のポーズで手に持ってるものは、「賢二先生曰く、『そんなに大切じゃないけど誰にもあげたくないもの』。自分は人間の頭か心臓をイメージしている」とのこと。

ほう……???

解釈がむつかしいなあー。私は自分の心臓(自分を動かしているものの正体)を見せつけている、てイメージだったんだけど。

いっぺんでいいから生で見たい。

 

 

 

と、長くなったのでここで一度切ります。

他のプログラムについては次の記事で!