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髙橋大輔にある日突然はまってしまった日記

私選!高橋大輔プログラム感想③

浅田真央さん、競技復帰ということで。

織田信成さんのコメントが……本当に優しい人だなあ。
彼がTVで活躍してくれててよかった。
 
 
 
さて、今回でプログラム感想は最後?かな?
また印象が変わったら個別記事にするかもしれないけど。
とりあえずいきましょう。
 
 
 
Blues for klook。
 
これも高橋大輔だからこそ滑ることができる、そんなプログラムですね。
一言でいうなら「粋」、もしくは「gloovy!」。
押し付けがましくなくてスマートな、少し力の抜けた、それでいて挑発的な誘い方。
こういう俗っぽい、イカしたカッコよさをスケートで魅せてくれるの嬉しい。男性ファンが増えそう。
他国のスケーターたちがスタオベした国別対抗戦。ああいう風景が見られるのはとても幸せですね。
デーヴィス&ホワイト組の言葉が良い。
「彼の演技そのものが、僕らにとっては『体験』だった」
「みんなでロックコンサートに行って盛り上がった、みたいな」
どれだけ楽しいものだったかよく分かる。
しかし、普段はライバルのスケーター達までもが、ただのオーディエンスにされてしまった、私たちよりずっとプロな目で見ていただろう彼らさえ、「観客と一体になりたい」という高橋大輔の欲望に応えてしまった! ……そう考えると空恐ろしいものを感じます。
もちろん、お祭りみたいな試合だからこそっていうのもあるんだろうけどね。
 
リズミカルな膝の使い方。さりげない手首の返し。曲の変化に合わせたジャンプがもたらす相乗効果で、どんどん観客が盛り上がっていく。それは「これジャンプ全部成功すんじゃないの!?」というドキドキしたものじゃなくて、決まると気持ちいい場所で決めてくれたことに対する興奮。
なんていうんだろう、ライブセッションでいい感じにソロを回せてて、奏者も客もヒートアップしていく中、彼も超カッコいいアドリブで見事期待に応えてくれた! みたいな。その時の嬉しさったらない。私が酒場に居るおっさんだったら絶対「いいもん聴かせてもらった!一杯奢らせてくれや!」って声かけるな。まあ実際は花束投げるわけですが、こっそりチップを仕込んでおきたい(笑)
 
……なんかもうほぼミュージシャンに対するコメントだなあ。
スケートどころか、陸上での踊りでもああいうジャンルでやってる人を見たことないからかな。というより、できる人が少ないってこと?
 
音が体から溢れ出してる、って表現がぴったりです。彼の体が楽器そのものなんだ。
 
高橋大輔は振付師にとっての夢って言われる意味がよくわかる。歌い手が作曲家にとって魅力的な楽器であるのと同じで。ずっと頭の中だけにあった理想を、ようやく形にして見せることが出来る。
嬉しそうに「この曲にしよう」って言ったカメレンゴ先生の顔が容易に思い浮かぶ。それでも決して自己満足にはしなかった! ナイスです。
 
 
 
 次にluv letter 。
あまりの柔らかさに衝撃を受けたプログラム。
女性的というより、本当にやわらかい。
そして軽い。
軽くて、やわらかくて、綺麗。
ジャンプすらも本当にフワッと浮く。さり気なさすぎて3回まわってるとは思えないよ。
それと、どの瞬間を切り取っても手の表情がすごい。空気をなめらかに撫でている、というのか。ぱっと手を広げるところも、花が舞い散るような余韻がある。曲と一緒でずっと流れが途切れない。絹の織物がするする流れ落ちる感じ。
ほんとうに桃源郷みたいな、美しくきれいなものだけを集めた世界なんだけど……その綺麗なものっていうのは、全部、涙、な気がする。
 
 
 
 
最後に、ビートルズメドレーについて。
テーマは「愛」。
片足でSを描きながら手でハート、の振付。私はあの部分がどうもローリーさんの自己満足のように思えてあまり好きではない。でもあの静かな音楽に乗って図形を描いているのが、なんだか子どもの遊びみたいで、少しうつむいている彼が純粋にスケートが好きだったころの少年みたいに見えて、じーんときてしまう。スケートをしてきた人たちも、かつての自分をそこに見るのかもしれない。
……高橋大輔みたいな、心がそのまま外側に出てしまう人にとって、こんなに優しい曲であの辛いシーズンを戦うのは、難しくはなかったのだろうか。
……もしジャンプを全部決めたとしても、彼は感謝の思いを込めて滑っただろう。けれどそれは、全日本やソチのようなものとは違う。
あの演技は見ていて痛かった。
『こんな僕を愛してくれてありがとう』
彼はそう言ってるように見えた。
こんなにも弱く、情け無い自分を、それでも皆は許してくれた。自分は幸せだ。ありがとう。愛してる。皆のことを愛してる。全ての人を愛してる。
 
何もかもを赦す。そんな愛を、オリンピックの舞台で、演技を通してここまで伝えられる人が居るだろうか。
きっと、あの時の高橋大輔にしかできない。
全日本で5位、ソチで6位。決して輝かしい功績とはされない演技。
だけど、全日本の涙と血も、ソチの時のあまりにも透明で穏やかだった表情も、全部あの時にしか見られないものだった。それが分かっていたから目が離せなかった。
どんなに痛くても。
だから、あの美しい演技を、私は大切に覚えていようと思う。
 
 
 
以上でプログラム感想は終わり。
次の記事からまた、高橋大輔らしさに対する考察に入ります。